今週もSBI VCトレード提供の暗号資産(仮想通貨)に関するウィークリー・マーケットレポートをお届けします。
2/2~2/8週のサマリー
- 週初、トランプ政権による関税報道を受けたリスク回避の動きで始まる
- 雇用統計の結果は強弱まちまちで、積極的な利下げを進める材料とはならず
- XRP ($2.34)とLTC ($107.73)の現物ETF申請について進展あり
暗号資産市場概況
2/2~2/8週におけるBTC ($95,663.97)/JPYの週足終値は前週比▲6.98%の14,623,300円、ETH ($2,574.66)/JPYの週足終値は同▲18.30%の399,755円であった(※終値は2/8の当社現物EOD[2/9 6:59:59]レートMid値)。
先週の暗号資産市場は、前週末のトランプ政権によるカナダ、メキシコに対する25%関税の報道を受けたリスク回避の動きが続き、一時92,000ドル割れまで下落した。しかし、関税延期の報道を受けて102,000ドル付近まで値を戻す動きを見せ、週を通して見るとボラティリティの激しいレンジ相場となった。
週初は、前述の関税報道によるリスク回避の動きが影響し、アルトコインが大幅に下落した。結果的には値を戻したものの、ETHが約25%、XRPが30%超の下落を見せるなど、1日の下落幅としては年に数回あるかないかの大相場となった。XRPなどの一部銘柄は、日足で見れば上昇で引けており、市場はヘッドラインニュースに大きく影響を受ける状況が続いた。
また、このようなリスク回避の動きは、「DeepSeek」が低コストで高性能なAIモデルの提供を開始したことにより、既存のAI産業構造が変化する懸念がいまだ市場に影響を与えているためだと考えられる。このような状況下では、利下げによる金利低下が起こったとしても米株を積極的に買いづらく、リスク回避的な資産として米債に資金が集中しやすくなっている。週央には、ベッセント米財務長官が「トランプ氏と私は10年債利回りを注視している」と発言したことが、米債への資金集中をさらに加速させた。
週末には、雇用統計の結果が強弱まちまちとなり、積極的な利下げを進める材料とはならなかった。その結果、金利は上昇し、暗号資産市場にとってはややネガティブな内容となった。その後、ワシントンで日米首脳会談が行われたが、関税についての協議は行われず無事に終了した。市場では週央から首脳会談にて円買いネタが出ることを期待した動きをしていたため、無難に通過したことでドル円には買い戻しが出ると思われ、円建ての暗号資産価格にとってはややプラスに働くだろう。
先週は米国の大手デリバティブ取引所Cboe BZX Exchangeが、XRPの現物ETFの承認プロセスの一環として、19b-4申請を米証券取引委員会(SEC)に新たに提出したことを明らかにした。LTCの現物ETF申請についても進展があり、ETH以外のアルトコインETF市場の拡大を期待できる。
トランプ氏の名を冠した「TRUMP ($14.88)」コインが発行された際にアルトコインから資金が流出しており、それ以来BTCドミナンスが上昇し続けている。今後、アルトコインETFが市場で注目を集めれば、流出した資金の回帰が期待できるため、暗号資産市場にとってプラスに働く可能性がある。引き続きこの動向を注視していきたい。
1) BTC/USD週間チャート(30分足)
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2) BTC/JPY週間チャート(30分足)
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3)ビットコイン現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計、ビットコイン価格
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4) イーサリアム現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計、イーサリアム価格
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2/2~2/8週の主な出来事
2/9~2/15週の主な予定
【今週のひとこと】米国各州の暗号資産政策
米国では、トランプ大統領が就任してから1カ月も経たないうちに、暗号資産に関する制度整備が急速に進んでいます。例えば、1月23日(以下、現地時間)に発表された中央銀行デジタル通貨(CBDC)の発行および流通禁止命令、米国証券取引委員会(SEC)による暗号資産タスクフォースの設立、さらに米上院の超党派グループが推進するステーブルコイン規制枠組みの法案提出などが挙げられます。
これらは連邦レベルでの動きであるのに対し、州レベルでも各州がそれぞれの状況に応じた対応を進めています。特に、各州議会において戦略的ビットコイン準備金(Strategic Bitcoin Reserve, 以下 SBR)に関する法案を審議、または暗号資産投資に関する政策を検討・導入する動きが見られます。ビットコイン関連の立法措置を追跡するサイトBitcoinLawsによると、SBRを含む暗号資産関連法案を策定中の州は50州のうち27州と、すでに過半数に達しています。SBRに絞った法案だけでは20州で提案や審議が進行中です。
本稿執筆時点(2025年2月9日)で最も進展が見られるのはユタ州です。同州では2月6日に州下院で可決され、翌7日に州上院へ提出されました。内容としては州の公的投資資金の最大5%を暗号資産へ投資することや、ステーキングやレンディングの実施等が含まれています。上院での可決、州知事からの承認を通して施行されることになります。ユタ州以外にも、アリゾナ州では公的投資資金の最大10%をSBRに投資する法案「Arizona Strategic Bitcoin Reserve Act」を上院にて審議中であり、歳入と退職年金を暗号資産で運用する内容を盛り込んでいます。
州別の投資割合や明示した実施内容は異なるものの、米国における各州は暗号資産に関して積極的に議論していることがわかります。また、州ごとに法制度が異なるため、それぞれの承認可否に関するニュースが注目を集めるでしょう。
このレポートについて
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画像:Reuters
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暗号資産は、移転記録の仕組みの破綻によりその価値が失われる可能性があります。
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